勤め先を辞めることにした

現在の勤め先を辞めることにした。

仕事内容には(ケチつけようと思えばいくらでもつけられるが)許容範囲だった。しかし、何年も人事異動をせず、ずっと同じ所に留まっている人がいて(この時点で読者諸賢は察してくれたかもしれない)、その人とだけどうもウマが合なかった(以後「その人」をAとする)。

Aは周りの人からも疎まれていた。が、疎んでいるなりに周りの人は折り合いを付けているみたいだった。現状維持バイアスだろうか。僕だけがAに問題意識と苦痛を感じてるのかもしれない。Aと同じような人間はいくらでもいるのかもしれない。だが、百万人いれば百万通りいるのもまた人間である。付き合うのが苦痛な人間と一緒にいる理由はないと僕は考えた。

おそらくAはあと10年は勤めるだろう。僕は異動がない立場なので、もしずっと勤めるとしても、僕が10年も堪える必要はないだろう。人生は短いのだから。

その他の方との人間関係は−−僕からみればだが−−良好だったので、実に惜しい。だが、Aを異動または辞職させる為に団結できる訳でもない。僕個人がそれを言ったとしても組織対個人だったら必ず組織が勝つ。フットボールで優秀な選手が1人だけいても勝てないのと同様である。だったら僕がその職場から「移動」してしまった方が、無い気概・気力も使う必要がない。世の中、戦わなければならない時があるが、戦わずして済ますことができるのも事実である。個人は組織に対してあまりにも弱い。悲しいことだがこれが僕のできることの限界である。積極的退職か消極的退職かでいったら消極的退職だろう。

とはいえ、これからのことは楽観的だ。僕は何よりも自由が好きである。そして、「本当の意味での自由」を探究するのとも好きである。これで一時的とはいえ上記で述べたようなことから自由になれたのは快い。これからのことは漠然としか考えてないか、むしろ何も考えていないの方が近い。水族館の魚のように漠然としている。キルケゴールの「自由とは不安である」になぞらえて、「自由とは不安定である」と僕は悟ることができたのかもしれない。