運動について

 涼しくなるとチョコレートが食べたくなる。秋の乾いた、スピッツの「正夢」を歌いたいような、冷涼な空気が私をチョコレートへ導く。決まってDARSかアルフォートに手を出す。ついでにポテトチップスも買う。勿論コンソメ味である。それを水出しのルイボス茶と食べる。10代後半の時分からこの癖がある。小さいが確かな幸せである。こんなことをしても体重が増えないのは、恵まれた体質もあるだろうが、運動の習慣が大きいと思う。高校の頃はバドミントン部に交じってプレイしたり、バスケ部に交じってドリブルやシュートをしたり、週末は軟式野球部で試合に出たりした。こう書くと多忙に見えるがそうではなく、全て遊びのようなものである(私は特殊な高校時代を送っていた)。この時分はラーメンや牛丼を大盛りにするのは当たり前で、コンビニで買える果物風味の水を放課後にがぶ飲みするなど、まさに鯨飲馬食――といっても十代の男性はこれくらい朝飯前だが――の限りを尽くしていた。そんなことをしても牛のようにならなかったのは、先述した体を動かしていたからだろう(体重変化を加齢のせいにしたがる風潮があると思っているが、私は学生時代程運動していないからだと思う。この思想はマスクリン過ぎるだろうか)。この運動習慣が歯磨きや風呂のように身についている。高校時代のような機会はないが、それでも1週間に6日は歩かないと、何日も風呂に入っていなかったような、そんな心持になる。私にとって散歩及び運動はカントの言うところの不完全義務ではなく、完全義務であり、諸人にとっても、健康を欲するなら、不完全義務ではなく、完全義務といっても相違ないだろう。