2020年10月

秋になった。秋は素晴らしい季節なのは言うまでもないが、冬に向かっていく憂鬱がやや胸にある季節でもある。太平洋側または関東以西にお住まいの方には分からないかもしれないが、日本海側の冬というのは殆ど晴れの日が無く、日が短く、寒くそして雪が降る。それが約3ヶ月続く。太平洋側または関東以西は、日が短い以外、それらの逆なので、僕から言わせれば、春夏秋秋だ。

ここ数週間は社交が盛んだったように思う。人と交わることができるのは、やはり幸福で幸運なことだと、確かめられた。JP・サルトルは「地獄とは他者のことである」といい、J・ハイトは「他者とは地獄でもあり天国でもある」と述べたが、僕は後者の方が妥当であると感じる。イエスの「あなたの敵を愛しなさい。罪人でも自分を愛してくれる人を愛するではないか」というのは非常に高度な教えだ。だが、昨今の〈インターネット〉評価時代においては、かなり的確な道徳律ではなかろうか。

夏にビールばかり飲んでたせいかウイスキーがあまり飲めなくなってしまった。僕が書く散文のように、退屈な味なのである。僕の味覚を抜きにすれば、散文的なのはビールで、韻文的なのはウイスキーなのはおそらく多くの人が同意してくれるだろう。